2011年03月31日
地震と月の関係
日本惑星協会のYMコラムで地震とお月さまの関係を書いておられました
転載します。
そういえば 阪神の時は満月だったと聞いたように思います。
☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.549)
大きなお月さま──3月19日に「スーパームーン」
1 さる3月19日の夜、日本時間で正確に言えば3月20日の午
前1~4時頃、いつもより大きなお月さまが見られました。
時刻が遅かったので、見た人は少なかったかも知れませ
んが、電気が不自由な被災地の人たちは見ることができ
たかなあ?という想いでした。あの圧倒的な美しさ・大
きさは、人間界では作り出せないスケールの異なる世界
のことだと、あらためて感じるからこそ、宇宙への憧れ
というものが、私たち「小さな」人間たちの共有するも
のになっていくのだと思います。そういう感情は、山へ
の崇高な感じ方、海への広大な思慕などにも見ることが
できます。
2 しかしその同じ私たちのエネルギーを遥かに凌駕する規
模の力が、人間を攻める側に回った時、これほどの悲劇
と試練を与えることになるということですね。それはよ
く考えると、自然に責任があるわけではありません。や
はりそれを未然に予測し、それに対する十分な対策を講
じるよう助言することのできなかった人間の側に、でっ
かい反省材料はあるのだと思います。
地震学者、あるいは津波学者(という呼称が存在するの
かどうかは知りませんが)の中には、警告を発していた
人がいたことは知っています。しかしテレビなどで登場
している人たちは、「予測をはるかに超えていた」と、
全ての人が言っています。稀に、それを発言した後に、
悔恨の情も露わに涙をこぼす科学者がいると、「きっと
現在の私たちの持っている科学のレベルを、もっともっ
と伸ばさなければ」という想いに駆られているのだろう
な、という気持ちが伝わります。
予測は、大げさに言えばいいというものではなく、それ
なりの科学的な根拠を示さなければ「科学界」では認め
られないし、また認められても、それに対する対策とい
うことになると行政の壁が立ちはだかることもあるでし
ょう。今回の大震災をめぐるそうした攻防の構図は、
(いつのことやら分かりませんが)少し落ち着いたらぜ
ひとも未来のためにしっかりと見つめておかなければな
らないのでしょう。
3 さて3月19日の月は、なぜいつもより大きく見えたのでし
ょうか。実は、月が地球に非常に近づき、そのうえ満月
だったので、特別に大きく見えたのです。この日のよう
な月は「スーパームーン」と呼ばれます。
月が地球の周りをまわる軌道は、わずかながら円からず
れています。厳密には楕円軌道なのですね。平均すれば、
地球からの距離は約38.4万kmだということは憶えている
人が多いでしょう。しかし詳しく見ると、地球に近づい
たり遠ざかったりしているのです。近地点にいる時は地
球から(36.2±0.4)万km、遠地点では40.5万kmにありま
す。つまり一番近い時と遠い時とでは、大体5万km以上
もの差があるのですね。
今回の19年ぶりの最接近は約35万6577km。日本時間のピ
ークは午前3時頃で、4時頃に満月となるようです。この
日は、近地点を過ぎてから1時間以内に満月になったので、
ほぼ完璧な「スーパームーン」になったのです。
普段は月の大きさや明るさを意識することは少ないと思
いますが、世界各地の人々がこの日の「スーパームーン」
を見つめました。必ずしも近地点の瞬間ではありません
が、一番遠いときと比べると大きさで14%、明るさは
30%も増すことになったので、やはり肉眼でも大きく見
えたようです。
4 ちなみにスーパームーンは過去にも地震や噴火と関連が
あると言われ、今回の東北を襲った震災も関連を指摘す
る人もいますが、それは科学者たちによって、はっきり
否定されています。理由は地震の起きた11日の時点では
月の位置はむしろ遠くにあり、直接的な影響を与えよう
がないからです。被災地の人たちの目に、この美しく大
きな月の光が届いているといいなという想いが、自然へ
の畏敬の念と、少しでも被災の苦しさを和らげることが
できたらという想いが重なって、起きてきました。近く
にいる人たちにこの「スーパームーン」のことを話すと、
「もっと早く言ってくれればよかったのに」となじられ
ました。本当にそうですね。たとえば下の写真を眺めて
みてください。私の反省は切なるものがあります。そし
てこれは、一部の天文学を専門にする人たちも共有でき
る気持ちだと期待しています。
http://thegoldexp.blog99.fc2.com/blog-entry-468.html
(YM)
転載します。
そういえば 阪神の時は満月だったと聞いたように思います。
☆☆ YMコラム ☆☆ (NO.549)
大きなお月さま──3月19日に「スーパームーン」
1 さる3月19日の夜、日本時間で正確に言えば3月20日の午
前1~4時頃、いつもより大きなお月さまが見られました。
時刻が遅かったので、見た人は少なかったかも知れませ
んが、電気が不自由な被災地の人たちは見ることができ
たかなあ?という想いでした。あの圧倒的な美しさ・大
きさは、人間界では作り出せないスケールの異なる世界
のことだと、あらためて感じるからこそ、宇宙への憧れ
というものが、私たち「小さな」人間たちの共有するも
のになっていくのだと思います。そういう感情は、山へ
の崇高な感じ方、海への広大な思慕などにも見ることが
できます。
2 しかしその同じ私たちのエネルギーを遥かに凌駕する規
模の力が、人間を攻める側に回った時、これほどの悲劇
と試練を与えることになるということですね。それはよ
く考えると、自然に責任があるわけではありません。や
はりそれを未然に予測し、それに対する十分な対策を講
じるよう助言することのできなかった人間の側に、でっ
かい反省材料はあるのだと思います。
地震学者、あるいは津波学者(という呼称が存在するの
かどうかは知りませんが)の中には、警告を発していた
人がいたことは知っています。しかしテレビなどで登場
している人たちは、「予測をはるかに超えていた」と、
全ての人が言っています。稀に、それを発言した後に、
悔恨の情も露わに涙をこぼす科学者がいると、「きっと
現在の私たちの持っている科学のレベルを、もっともっ
と伸ばさなければ」という想いに駆られているのだろう
な、という気持ちが伝わります。
予測は、大げさに言えばいいというものではなく、それ
なりの科学的な根拠を示さなければ「科学界」では認め
られないし、また認められても、それに対する対策とい
うことになると行政の壁が立ちはだかることもあるでし
ょう。今回の大震災をめぐるそうした攻防の構図は、
(いつのことやら分かりませんが)少し落ち着いたらぜ
ひとも未来のためにしっかりと見つめておかなければな
らないのでしょう。
3 さて3月19日の月は、なぜいつもより大きく見えたのでし
ょうか。実は、月が地球に非常に近づき、そのうえ満月
だったので、特別に大きく見えたのです。この日のよう
な月は「スーパームーン」と呼ばれます。
月が地球の周りをまわる軌道は、わずかながら円からず
れています。厳密には楕円軌道なのですね。平均すれば、
地球からの距離は約38.4万kmだということは憶えている
人が多いでしょう。しかし詳しく見ると、地球に近づい
たり遠ざかったりしているのです。近地点にいる時は地
球から(36.2±0.4)万km、遠地点では40.5万kmにありま
す。つまり一番近い時と遠い時とでは、大体5万km以上
もの差があるのですね。
今回の19年ぶりの最接近は約35万6577km。日本時間のピ
ークは午前3時頃で、4時頃に満月となるようです。この
日は、近地点を過ぎてから1時間以内に満月になったので、
ほぼ完璧な「スーパームーン」になったのです。
普段は月の大きさや明るさを意識することは少ないと思
いますが、世界各地の人々がこの日の「スーパームーン」
を見つめました。必ずしも近地点の瞬間ではありません
が、一番遠いときと比べると大きさで14%、明るさは
30%も増すことになったので、やはり肉眼でも大きく見
えたようです。
4 ちなみにスーパームーンは過去にも地震や噴火と関連が
あると言われ、今回の東北を襲った震災も関連を指摘す
る人もいますが、それは科学者たちによって、はっきり
否定されています。理由は地震の起きた11日の時点では
月の位置はむしろ遠くにあり、直接的な影響を与えよう
がないからです。被災地の人たちの目に、この美しく大
きな月の光が届いているといいなという想いが、自然へ
の畏敬の念と、少しでも被災の苦しさを和らげることが
できたらという想いが重なって、起きてきました。近く
にいる人たちにこの「スーパームーン」のことを話すと、
「もっと早く言ってくれればよかったのに」となじられ
ました。本当にそうですね。たとえば下の写真を眺めて
みてください。私の反省は切なるものがあります。そし
てこれは、一部の天文学を専門にする人たちも共有でき
る気持ちだと期待しています。
http://thegoldexp.blog99.fc2.com/blog-entry-468.html
(YM)
Posted by 高岸院長 at 11:20│Comments(0)
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